大人の自由研究 「砧」①
砧に住んでいて 本物の砧を見たことが無い!皆さまはいかがですか。地名としての砧は、方言漢字として、笹原宏之教授編著の「方言漢字事典」にも立項されています。表紙タイトルの右横に「砧」の文字が読み取れるでしょうか。また、方言漢字を研究なさっている、「八潮の地名から学ぶ会」のリーフレットにも登場します。「普通名詞としての使用が激減する中、全国1ヶ所の地名。世田谷区砧、砧南小学校、砧町自治会がある。」となっています。わざわざ、我が法人格砧町自治会を取り上げてくださったのは、砧の名物や、砧地域のことで、会の代表の昼間さまと、情報交換のやり取りがあったからだと思います。
実際の砧は見たことが無いのですが、自分の体の中に砧骨(きぬたこつ)という骨があることを知りました。中耳にある骨で 砧 の形をしており、中耳にある3つの 耳小骨 のうちの1つだそうです。 横方向に接続されている 槌骨 から振動を受け取り、内側で 鐙骨 に伝達する働きをしているそうです。そして思い浮かべるのは、八王子周辺で見られる、インプラント治療で有名な「きぬた歯科」の大きな看板です。見かけるたびに、なぜか親しみを感じていたのですが、院長先生のお名前が、羅田さんということで、私たちの地名の砧とは関係が無かったと知りました。確かに、このお名前は、すぐには「きぬた」と読めないようです。
砧の地名から、砧そのものや、砧と名付けられた物、文学に見られる砧など、大人の自由研究として、楽しく深掘りしていこうと思った矢先、残念な知らせがありました。最初に砧を意識したのは、ここ砧に転居してくるずっと前のことです。1972年に、外国籍で初の芥川賞を受賞した「砧をうつ女」の著者、李恢成(り・かいせい)氏の訃報でした。89歳だったそうです。小説の中には、少年の立場から、母親が砧を打つ様子を眺めるのが楽しみであったこと。砧を打ちながら、母親は何を考えていたのだろうと想像したことなどが書かれています。砧を打つ音は、トントントン、トントントンと表現されています。今では、ここ砧でもその音を耳にすることはありません。(広報部 部長K)